
おかべ動物病院
ペットケアクリニック
TEL ワンコワンコ
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新型コロナウイルスと伴侶動物
世界を震撼させた新型コロナウイルス感染症。重症例では肺炎を引き起こし、全世界で多数の死者の報告もあります。
先に、香港で新型コロナウイルス肺炎を発症した家庭のペットの犬から、新型コロナウイルスが検出されたという報道もあり、日本でペットを飼育されている方々も大変心配されていることと思います。
実際に当院でも飼い主様から、「ペットに新型コロナウイルスは感染するのか?」という質問をお受けする機会が度々あります。
それに対して当院では、WSAVA(世界小動物獣医師会)から世界に向けた公式見解をもとにお答えさせていただいています。
以下に、Q&Aで飼い主様の疑問にお答えしたいと思いますが、まずコロナウイルスとはどんなものなのかを少し紹介しておきたいと思います。
コロナウイルスはコロナウイルス科に属するウイルスで、アルファおよびベータの種類に分類されるタイプのものは、通常は哺乳類に感染して、ガンマおよびデルタに分類されるタイプのものは、通常は鳥類や魚類に感染します。
犬で軽度の下痢を起こす犬コロナウイルスおよび猫の伝染性腹膜炎(FIP)の原因となる猫コロナウイルスはいずれもアルファコロナウイルス属で、今回の新型コロナウイルスとは関係がありません。
今回のCOVID-19と呼ばれるコロナウイルスは、SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスやMERS(マーズ:中東呼吸器症候群)コロナウイルスと同じベータコロナウイルス属になります。
Q:COVID-19は伴侶動物に感染しますか?
A:現時点では伴侶動物が、新型コロナウイルスに感染しうるというエビデンス(科学的根拠)は限定的であり、犬や猫が他の動物や人に対する感染源になるというエビデンスはありません。
※追加情報として、外国において少数ではありますが、犬、猫、動物園の虎、ミンクなどでの感染報告があります。
Q:自分自身がCOVID-19にかかった場合、伴侶動物やそのほかの動物との接触を減らすべきですか?
A:CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、以下の推奨をしています。
「COVID-19に感染している場合は、伴侶動物やそのほかの動物との接触を、そのほかの人に対するものと同様に制限すること。伴侶動物やそのほかの動物がCOVID-19に罹患して症状が出たという報告はないが、このウイルスに関するさらなる情報が出てくるまではCOVID-19の罹患者は接触を制限すべきである。可能であれば、病気の間は家族の別の人が世話をしてほしい。COVID-19にかかっている場合は、なでる、くっつく、キスする、なめる、同じ食べ物を食べることも含めて伴侶動物との接触を避けるべきである。病気の間に伴侶動物の世話をする必要や近くにいる必要がある場合は、触る前後に手洗いをしてマスクをつけるべきである。」
最新の情報はCDCのウェブサイトから確認できます。
www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/faq.html#2019-nCov-and-animals
Q:もし、伴侶動物が感染している人と接触した場合、その伴侶動物は他の人に病気を伝搬させますか?
A:確定はしていないものの、伴侶動物が新型コロナウイルスに感染するまたは伝搬するというエビデンスは限定的である。また伴侶動物が今回の新型コロナウイルスによって病状を示すかどうか分からない。しかも、伴侶動物や畜産動物が人の新型ウイルスの感染源と疑われるようなエビデンスは現時点ではない。
今回の件では不明なことも多く、急激な展開を見せることがあるため、新しい情報は入り次第CDCの方でもアップデートされていきます。
Q:もし、自分の伴侶動物が詳細不明の病気になり、自分の周辺に新型コロナウイルスに罹患している人がいる場合にはどうすればよいですか?
A:現時点では、伴侶動物が新型コロナウイルスに感染や罹患するかは分からない。もし自分の伴侶動物が詳細不明の病気になり、自分の周辺に新型コロナウイルスに罹患している人がいる場合は、その人の対応を行った保健所などの施設に相談してほしい。公衆衛生獣医師や公衆衛生の技官がかかりつけの動物病院に連れて行くようアドバイスした場合は、事前に連絡をして、新型コロナウイルスに感染した人に接触した病気の動物を連れていくことを伝えてほしい。そうすることで動物病院は隔離場所を準備することができる。
公衆衛生部門から動物病院には連れて行かないように要請されている場合には、その指示に従ってください。
Q:今回の新型ウイルスに感染した人と動物が接触することで心配することは何ですか?
A:新型コロナウイルスは動物が起源と考えられていますが、現在のところヒト-ヒト感染によって拡大しています。ヒト-ヒト感染は主に感染した人の咳や鼻水から出る呼吸器の飛沫が感染源と考えられており、犬や猫などの伴侶動物が新型コロナウイルスに罹患するというデータは現時点でははっきり分かってはいません。
伴侶動物が新型コロナウイルスに対して疫学的にどんな立ち位置にあるかも不明であるものの、獣医療に携わるすべての人は、特に感染した人と接触を持つ場合など、厳格な手指の消毒をし続けるべきです。
Q:新型ウイルスの流行地域にいる動物には何をすればいいですか?
A:現時点では、伴侶動物やそのほかの動物が新型コロナウイルスに罹患するというエビデンスは限定的。
伴侶動物やそのほかの動物が新型コロナウイルスによって症状を示す事例がなかったとしても、さらなる情報が出てくるまでは、飼い主さんは知らない動物との接触を控え、動物を触る前と後には手洗いを行うこと。
飼い主さんが新型コロナウイルスに感染している場合は、なでる、くっつく、キスする、なめる、同じ食べ物を食べることも含めて伴侶動物との接触を避けるべきであり、病気の間に伴侶動物の世話をする必要や近くにいる必要がある場合は、触る前後に手洗いをしてマスクをつけるべきです。