
おかべ動物病院
ペットケアクリニック
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老齢動物に見られる病気
白内障
白内障になるのはヒトだけではありません。
白内障は水晶体が濁る病気です。
白内障が起こる原因のひとつは老化です。しかし、老化がどのように目に影響を与え濁らすかははっきりわかっていません。
老化によって水晶体の水分が減っていき、タンパク質がどんどんと増えることによって、濁りを作るという物質的な変化はわかっています。
しかし、なぜ老化が水晶体の水分を減らすのか?どのような時に白内障がおき始めるのか?ということはわかっていません。
※ヒトでは糖尿病やアトピー性皮膚炎との関連も白内障の原因といわれています。
<白内障の治療>
これまで白内障の治療の際に、ヒトで使用されるタチオン点眼液やカタリン点眼液(犬のライトクリーン点眼液)が犬の白内障にも使用されてきました。
タチオン点眼液は眼の水晶体に含まれる3つのアミノ酸の結合体で抗酸化物質であるグルタチオンを補充する働きがあります。
白内障になると水晶体のグルタチオンが減少するといわれています。しかしグルタチオン自体が白内障の濁りを取り除く働きはありません。
カタリン点眼液は成分のピレノキシンが水晶体の水溶性たんぱくが変性し、不溶性化するのを阻害することにより水晶体の透明性を維持し、白内障の進行を抑制します。しかし、初期の老年性白内障に対して、それ以上の進行を遅くするために有効な薬として使われますが、これもこの薬自体が白内障の濁りを取り除く働きはありません。
以上のようにこれまでは完全に白内障となってしまったものに対しては、外科手術により水晶体を人工レンズと交換するかそのまま放置するかしか選択肢がありませんでした。
しかし、今回ご紹介する点眼薬により、手術によらない白内障の治療というものも選択肢に加わりました。
N-アセチルカルノシンという成分を配合した点眼薬がロシアのマーク・バビザエフ博士により開発され、2010年9月アメリカで特許を取得しています。
ヨーロッパでは2003年からCan-Cという名前で発売され、これまでに多くのヒトで臨床使用され、その効果・安全性についても実証されています。(Dog Clarastillという商品名で全くの同一成分のものが欧米で流通しています。流通している料金はCan-Cに比べて少し高いようです)
この薬の画期的なところは、点眼を続けていくことで水晶体の濁りが改善されていくということです。
それとヒトよりも犬で効果が大きいといわれていることが獣医師にとっては喜ばしいことです。
ただし、これまでに使用した感触としては、成熟白内障にまで進行してしまった例では改善は難しいようです。
しかし、外科手術による高額な治療費がネックとなっていたものや手術を受けたくても高齢であったり、持病があり麻酔の危険性が高くて手術に踏み切れなかった動物では試してみるのもありかと思います。
治療の選択肢のひとつとして検討されてみてはいかがでしょう。
あいにくこの薬は日本では認可されておらず、簡単に購入することはできません。
しかし、日本国内でも個人輸入という形で手に入れられて、使用されている白内障患者の方はたくさんおいでるようです。
点眼治療の方法や継続期間などヒトとは違うところもあります。また、ルテイン、アスタキサンチン、プロポリスなど一般的に眼に良いといわれているサプリメントなどが点眼薬の効果を減弱させてしまうなど注意点もありますので、ひとつひとつご説明したいと思います。
愛犬の白内障で何とかしてやりたいとお考えの飼い主様は一度ご相談ください。
※すべての症例に100%の効果があることを保証するものではありませんので、あらかじめご承知おきください。
※日本で認可されていない点眼薬である以上、飼い主様ご自身の責任で購入していただくことになります。